言語哲学入門
受講生のみなさん、前回の私の講義録「新しい天使」、読みましたか。読んでないだろうな。まあ、いいでしょう。実はそのコメント欄で、ねぷたさんによる正確な理解にもとづく講義録を受けて、講義の話題の中心人物でもあり、客員教授でもある美崎薫さんご本…
過去の体験のすべてはどこかに記憶されているのかもしれませんが、思い出せる、想起できることはそんなに多くはないのが普通です。その少ない材料から私たちは自分自身、自己イメージを作り上げていると言えそうです。しかもその材料は都合のいい材料ばかり…
中山さんの『横浜逍遥亭』2006/11/16 (木)のエントリー「Blog Life is Timing」のコメント欄での「時間」感覚をめぐる美崎薫さんと私のやりとりを忘れない内にこちらにも掲載しておきます。受講生のみなさん、特にねぷたさん、読んどいて。elmikaminoは私で…
先週のエントリー「忘れっぽい天使」で、私は非常に興味深い勘違いを書いた。今日になってそれを知った。ベンヤミンが購入して私蔵していたパウル・クレーの天使の絵、有名な論文「歴史の概念について[歴史哲学テーゼ]」の中で大変見事に解釈されていたその…
先週は祭日でお休みだったので、今日は2週間ぶりの講義だった。その間に、東京にHASHI展を訪れ、美崎薫さんの「記憶する住宅」を訪問した。その時の深い体験をブログに書くことを通じて追体験を繰返し、また相変わらず毎朝写真を撮り続けて見えるものが増え…
今日は、一気に『論理哲学論考』からの「出口」へと学生たちをガイドした。 『論考』6.1251 それゆえ論理においても驚きはけっして生じえない。 『論考』6.5 謎は存在しない。 『草稿』現在の中で生きる人は、恐れや希望なしに生きる。 『論考』7 語りえぬも…
自分の内外で起こる不明なもの、未知のもの、要するに「謎」とうまくつきあうこと。謎を排除しないこと。それがよりよく生きる秘訣である。 ウィトゲンシュタインの独我論からの出口の分かりやすい比喩をさがしていて、今しがた、大学のトイレでおしっこをし…
世界は私の世界である(5.62) 私は私の世界である。(5.63) 独我論を徹底すると純粋な実在論と一致する(5.64) 論理空間という全可能世界の大海に浮かぶ島のような私の世界。私が経験した全事実から成る世界。その中には思考し表象する主体としての「私」は「存…
昨日、言語哲学入門の準備の最後の詰めに没頭しているとき、新人ゼミ生M君が訪ねてきた。一昨日の話の続きがしたそうだったので、こちらから昨夜思いついた小さなアイデア、「デジタル自画像アーカイブ」計画について、その概要を説明した。それは先日の情報…
今日の講義の風景、板書、とポイント。 1世界は成立していることがらの総体である。 1.1世界は事実の総体であり、もののの総体ではない。(岩波文庫版 野矢茂樹訳) 英語では 1The world is all that is the case. 1.1The world is the totality of facts, n…
受講生のみなさん、こんにちは。昨日初回の講義はどうでしたか。直前のエントリーで、「舞台裏」を一部暴露しておいたので、読んどいてください。さて昨日は、難しそうな「言語哲学入門」への「入門」として、言語、言葉をはなれて私たちの人生はないし、ど…
今日から大学は秋学期。初っぱなから2講連続、90分×2=180分、3時間、しゃべりっぱなしで喉が痛い。実は、喉の調子がずっとおかしくて、昨日、堪え切れずに、近所の耳鼻咽喉科専門の病院に行った。声帯にポリープでもできたのかな、と思っていた。初めて行…
受講生の皆さん、こんばんは。明日の授業では、まず映画『ヴィトゲンシュタイン』の後半を観てから、映画にまつわる事実に関する資料を配付して若干の解説をします。そして、ひとりの人間、たまたま「哲学者」として知られた人間の人生について考えたいと思…