2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

月とシナノキ

シナノキ(科の木, Japanese Linden, Tilia japonica)

カケス

カケス(橿鳥/懸巣/鵥, Eurasian jay, Garrulus glandarius) 上野さんがアカゲラの餌である脂身を準備していた。これしか食べないのだという。庭の餌台には多種の野鳥が飛来する。上野さんは野鳥の種ごとに違う好物の餌を用意しているのだった。夫人もま…

月とプラタナス

喪失感

「あれ、風太郎は?」と声を掛けて来た早坂さんは、最近愛犬ベス(17歳)を亡くした。猫の死は何度も体験したが、犬の死は初めてだという。その喪失感の大きさをはかりかねているようだった。散歩もしなくなっちゃったと寂しそうに笑った。「ぼくは、風太郎…

タイムカプセル:上野さん父子からの贈り物

上野さんがガレージ前で車のタイヤ交換しているところに行き会わせた。久しぶりだ。「ちょうどよかった、渡したい物があるんだ」と言っていったん家に入ってしばらくしてから出てきた上野さんは、「これ、息子からなんだが、使ってもらえないかな」とロボッ…

車窓から

一時停止。「ハナ!」「誰? 誰?」認知されなかった、、。 一時停止。花 信号待ち。五輪通り。真駒内公園を抜ける。一瞬、葉の落ちた樹々の間にいい光を見たが、写っていない。

孫子の兵法、デザインとアート

将来、投資家になることを目指し、現在システムトレードの勉強をしている2年生の佐々木君による「孫子の兵法」に関する報告があった。「勝つ」すなわち「生き残る」ための戦略に対する幼い頃からの関心がいつしか「孫子の兵法」へと彼を導き、投資家になり…

Tail Light

信号待ち。

オリオン座

カメラを持たずに夜の散歩に出る。首や肩や腰や膝や足首の関節の凝りをほぐそうとして、くねくねしながら歩く。端から見たらかなり怪しいだろうなと思いつつ。ふと見上げると、空に雲一つなく、ほぼ天頂に月は皓々と輝き、その少し南側にオリオン座がはっき…

小さい炎を消さないように

トチノキ(栃の木, Japanese horse chestnut, Aesculus turbinata)。葉がわずかに残っている。昨日の落ち葉はきれに掃除されていた。 四人乗り バラ(薔薇, Rose, Rosa) パンを抱きしめて。「この間は、写真をどうもありがとうございました」「どういたし…

世界は複雑なかたちのリースのように、どこまでもつながっている

asin:4087473856 昨日、寒い部屋で、冬のアイルランドを舞台にした藤原新也の長編小説『ディングルの入江』(1998)を姉妹編の写真集『風のフリュート』(asin:4087831175、1998)を脇に置いてじっくりと読んだ。部屋の寒さを忘れた。「小説」と言っても、著…

救い

asin:4894345390 水俣病が東京湾で起きたら、どうなっていたか。そう石牟礼道子は問う。国内のすべての原子力発電所およびその関連施設が東京湾岸にできていたら、どうなったか。同型の問いである。そうならないように、この国の高度経済成長は進行した。都…

手乗り地蔵

身長6センチ弱の「手乗り地蔵」がやって来た。不思議なことに、机の上のどこにおいても違和感なくすぐに馴染む。なんとなくその横に置いた菅原さん(id:alsografico)作「キノコ」もそうだ。

夜の孔雀草と電柱

寒気は去り、日中の気温は10℃を超えた。夜になっても氷点下にはならず、素手でも凍えない。朝の散歩では邪魔に感じることもある電柱や電線が、夜間には愛おしく感じられる。特に街灯のついた電柱は生き物のようにすら感じられる。フラッシュは使わずに、街灯…

霜柱

昨日は日中も気温が上がるどころか、ぐんぐん下がって氷点下、−3℃くらいになり、夜の散歩ではぶるぶる震えながら歩いた。今朝も気温は氷点下のまま、薄曇りの空の下、小雪がちらついていた。手袋の中の手がかじかむ。急激な寒波のせいで、町内では目につい…

月とコンビニ

夜の散歩に出る。昨夜の寒さを思い出しながら、覚悟して外に出ると、拍子抜けした。寒気は緩み、風もなく、体感気温ではプラス数℃だった。夜の散歩を再開してちょうど一週間経つ。どうにか一日のリズムの中に組み込まれたようだ。家の明かりはほとんど消え、…

雪虫は何処へ

昨日の冷たい雨はいつしか小さな結晶の雪にかわった。ダウンジャケットに手袋、防寒態勢で散歩に出る。藻岩山は薄らと雪化粧。下界では小雪がはらはらと雪虫のように舞い落ちてくるが、アスファルトの路面に着地した途端にすーっと融けて消える。はらはら、…

時代を超えた時

asin:4062748150 石牟礼道子『苦海浄土』は、湯堂湾と湯堂部落の自然と人事が深く織り成した美しい情景の見事な描写から始まる。その中の「村のよわい」という一見何気ない表現に惹き付けられた。壊れやすく、壊れても気づかれにくい人の心の奥底の時の熟成…

冷たい雨

雨。湿って冷たい空気が体にまとわりつく。手袋を忘れる。両手がかじかむ。吐く息が白い。やまばと公園のプラタナス、原生林のオニグルミ、たんぽぽ公園のエゾノコリンゴ、ハリエンジュ、オニグルミの枝をぶった切られた無惨な姿に、より一層寒々しい気持ち…

最も古い次元

私たちは影でないものなど愛せるのだろうか?------ヘルダーリン(アデライダ・ガルシア・モラレス『エル・スール』) asin:4900997218 なるほど。瞬時に、私たちは影でないものなど撮れるのだろうか? と翻訳していた。しかし、見る目には、影の中に「遠い…

夜の散歩

ニコラ・ド・スタール

藤原新也『コスモスの影にはいつも誰かが隠れている』(asin:4487804183)の最終話「夏のかたみ」に、ニコラ・ド・スタール(Nicolas de Staël , 1914–1955)が出てくる。藤原が東京芸大油絵科の学生だった頃に世話になった壁紙の図案のアルバイト先の西部ポ…

写真の詩と真実

本来の文脈から切り離しても、かなり腑に落ちる言葉の引用。 雨期の写真術は 自分が雨に濡れること(藤原新也『全東洋街道(上)』asin:4087505634、255頁) 思考によって目の前の事実と向かい合ったとき、私はしばしば世界の醜悪さを見せつけられ、逃げ場を…