石から水へ?

十年前に清水徹は現在の電子出版の動向をほぼ正確に予測しつつ、書物の歴史における「電子革命」の進展によって私たちのイメージの世界における「書物」の状態がどう変化しつつあるかについて次のように語った。 《電子革命》とともに書物はわたしたちの想像…

ページの後ろ姿を見送る

鈴木一誌『重力のデザイン』327頁/328頁をめくったところ 書物のページを考える。本を読むことは、ふるまいとしてはページをめくる行為の累積だが、読み手の意識からはページをめくったできごとは消えている。「画像の面」が陥没している。ページを読み終え…

[新版]ページネーションのための基本マニュアル

季刊d/sign デザイン no.18作者: 鈴木一誌,戸田ツトム,沢辺均,喜多千草,境祐司,阪本博志,中谷 礼仁,萩野正昭,松田行正,坂手洋二,石川初,四方田犬彦,中村勇吾,廣瀬則仁,永原康史出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2010/10/16メディア: 大型本 クリック: 27回…

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シコンノボタン(紫紺野牡丹, Princess flower or Glory bush or Purple glory bush, Tibouchina urvilleana)

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キク(菊, Chrysanthemum)

雪と雫とツララの写真の写真

見捨てられた場所に神々を見る

Wonders Seen in Forsaken Places: An Essay on the Photographs and the Process of Photography of Mark Cohen作者: Alphonso Lingis,Mark Cohen出版社/メーカー: Createspace発売日: 2010/03/18メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る

果実集と写真集

散歩のたのしみ

サフラン公園でよく会う「ビーグル」という名のビーグル犬。飼い主のおばあさんにも年齢は不詳。多分十歳くらい。最近なぜか私に懐いてくる。 無防備に振り返ると、さびしい思いをする。それも散歩のたのしみと思いなおす。 石田千『踏切趣味』筑摩書房、200…

旅の道連れ、移動の快楽

Agend'Ars アジャンダルス作者: 管啓次郎出版社/メーカー: 左右社発売日: 2010/09/30メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 5回この商品を含むブログ (4件) を見る アイヌ神謡集 (岩波文庫)作者: 知里幸恵出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1978/08/16…

お薦めの一冊:『食とワインのふらんす探検隊』

食とワインのふらんす探検隊 (ポシェット)作者: 工藤瞳,鵜野幸恵出版社/メーカー: ファベル発売日: 2010/08/25メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る 思いがけず、興味深い本に出会った。札幌の出版社ファベルの新書シリーズ「ポシェット」の一冊…

ハンプリ、こだわりを解きほぐすこと

こだわり−−これを朝鮮語ではハンという。漢字では<恨>だが、日本語の恨みとは異なる。ハンには返すという発想はなく、プリ(解きほぐすこと)が期待される。(野村伸一『巫と芸能者のアジア 芸能者とは何をするのか』中公新書、8頁) どうしようもないこだ…

花布と栞紐が綺麗な本、『東京骨灰紀行』

「東京骨灰紀行」。表題に参った。思わず買った。矢幡英文氏の聖路加タワービルからの俯瞰写真もいい、装幀もいいなぁ。ついでに、花布(はなぎれ)*1と栞紐も綺麗な製本だ。内容もいい。甘粕大尉のエピソード(239頁)にはちょっとひっかかったけど、小沢信…

2010年6月2日の朝の机上

朝日新聞朝刊。合掌。 読み返していた大野一雄の世界 Kazuo Ohno's World: From Without & Within 石狩川河口から望来の丘へ2(2010年05月05日) 読みかけの三冊 死者の書・口ぶえ (岩波文庫) 物質的恍惚 (岩波文庫) 「芸能と差別」の深層―三国連太郎・沖浦…

不便で素敵な場所へ

asin:4862760791 便利で詰まらない場所が増えた。不便で素敵な場所に行きたい。そんな場所で死にたい。ずっとそう思っていた。そしたら、大好きな色鉛筆の絵描きの下田昌克がよく知らない田崎健太と「とびきり素敵で不便な旅」をした記録が本になっていた。…

Jonas Mekas, TO PETRARCA(a book and CD set)

To Petrarca (Zagzig) 極力活字を排して、各種の写真、新聞や雑誌の記事や広告の切り抜き、自分や家族や友人の手書きの手紙などが印刷されたスクラップブックのような60ページ余りの薄い本に、「音の日記(sound diary)」と呼べるような日々の暮らしの中の…

ページへの深い眼差し

工藤さんが大変稀少な『日本の近代活字 本木昌造とその周辺』(近代印刷活字文化保存会、2003年)を不要だからと言って私に譲って下さった。昼休みにわざわざ届けて下さった。なんと工藤さんはかつて印刷業界で働いていらしたという。その関係で手に入れられ…

The Forgotten Japanese:時間持ちのジェフリーさんによる宮本常一の『忘れられた日本人』の英訳本

The Forgotten Japanese: Encounters with Rural Life and Folklore 一年前に、 鹿児島の南九州市川辺町の土喰(つちくれ)というすごい名前の村に「変な」アメリカ人が暮らしている。…時間持ち(2009年05月30日) と紹介したジェフリー・アイリッシュさんに…

生活のポエジー

「舳倉島滞在記(能登の海女)」を含む、日本各地の海女の世界に多面的に深く光りを当てた瀬川清子(1895–1984)の『海女』(未来社、1970年)を読みながら、フォスコ・マライーニも鋭敏に感受することになる海女の世界観の核心部分、すなわち生活全体と緊密…

太陽がいっぱいで潮の匂いのするとってもいい本

海女の島―舳倉島 フォスコ・マライーニ(Fosco Maraini, 1912–2004) 沖家室島の松本昭司さんに導かれるようにして、知っていると思っていたが実は何も知らなかった「海女」の世界に触れ、私にとっての「世界」の未だに穴だらけでフレームもピントも図柄も定…

「一箱の宇宙」(南陀楼綾繁)

藻岩山見えず。 一箱古本市の歩きかた (光文社新書) 読みたかった本が届く。 2005年、東京の谷中・根津・千駄木、通称「谷根千」と呼ばれるエリアで「不忍ブックストリートの一箱古本市」がスタートした。「一箱古本市」とは、その地域に点在する店の軒先を…

種子の奇蹟

the conelike fruites of a Japanese alder (Alnus japonica) on a page of Henry D. Thoreau, Faith in a Seed (asin:1559631813) 種子のないところに植物が生えるとは思っていないが、 種子の奇蹟のような働きを私は信じている。 そこに種子があることが分…

人間の最低生存条件は一定数のなかまなのです

asin:B000JARIRE 谷川雁の臥蛇島紀行「びろう樹の下の死時計」が収録された昭和34年に出版された『工作者宣言』(中央公論社文庫)。もちろん、古書。京都の全適堂書店から届いた。早速「びろう樹の下の死時計」を読みはじめる。抽象画と具象画を高速で交互…

Fingermarks of Flowers

asin:4763005316 「Fingermarks of Flowers」、「花々の指紋」か。 花たちもまた、指紋のごとき個性を持っていた。花々は、美を求める人間たちの添え物なのではなかったのだ。かれらは水準以上に抜きん出た命であり、沈黙のうちに完全な自由を許容する命であ…

すっとこどっこい

asin:4860110986イングランドよりもウェールズや特にスコットランド(アイルランドは言うまでもなく)に惹かれる私は思わず買ってしまった。富田珠己『スットコランド日記』を。「スコット・ランド」ではなく「スットコ・ランド」です。「すっとこな土地」で…

用務員のおっちゃん

教員ではなく、学校用務員という職業に関心があるというひとりの学生との会話がきっかけとなり、いい本に出会うことができました。 私、用務員のおっちゃんです (小学館文庫)作者: 三浦隆夫出版社/メーカー: 小学館発売日: 2000/04メディア: 文庫購入: 1人 …

花のように本を愛でる

先日、「花と本」と題したエントリー(http://d.hatena.ne.jp/elmikamino/20090831/p2)を書いた。その日ちょうど届いた三冊の洋書の外観を花のように眺めた時の印象を敢えて大きな写真とともにごく簡単に記した。自宅裏に毎年咲くエゾアカバナの可憐な小さ…

完璧な生活や仕事

辺境へ、世界の果てへ (写真叢書) 小野寺誠によれば、「ここではない、どこかへ!」という旅の衝動を形づくる「問題」は自分の「内側」にあると同時に人生の「偶然」ないしは「巡り合わせ」のようなものである。したがって、 真の旅は楽しみであるよりも、そ…

憂鬱な月曜日の朝のゴーマンな独り言

いままでの自分を他人のごとく突き放して、どこまで見切ることができるか。そして新しい地平に抜けることができるか。カッコつけて言えば、そういうことが賭けられていると薄々感じています。少し前まで自分がいた、そして了解していると思っていたはずの現…

花と本

エゾアカバナ(蝦夷赤花, Broad-leaved Willowherb, Epilobium montanum) Indonésie de Patrick Blanche ドキッ。あのPatrick Blanc(http://d.hatena.ne.jp/elmikamino/20090704/p4)の本と勘違いして買ってしまった写真集。写真家Patrick Blancheだった。…