自然

水際の旅、小島剛一さんと共に

「闘う言語学者」こと小島剛一さん、襟裳岬にて。 先週のこと、昨年秋に交わした約束通り、ストラスブール在住の言語学者、小島剛一さんが北海道にやって来た。新千歳空港の到着ロビーで初対面の小島さんを出迎え、挨拶もそこそこに、小雨模様の中、道央自動…

海の記憶

水上勉(1919–2004) 私は母の胎内でどんな時間を過ごしていたか知らない。私は自分が母からどうやって生まれて来たかも知らない。もし母が生きていれば、私を孕み生んだことを、妊婦としての体験、産婦としての出産あるいは分娩の体験を聞くことができたか…

自然の自己記録性

asin:4395005640 最近の枕頭の書の一冊。管啓次郎「みずからの風の色を」(『風の旅人』vol.40)で知った。毎夜寝床のなかで世界各地の魅力的な集落に心を飛ばして、実際に行ってみたいなあ、こんな住居や集落で暮らしてみたいなあ、と何度も呟いては、夢見…

新緑と残雪

ポプラ(西洋箱柳, Poplar, Populus nigra var. italica)。真駒内公園。 藻岩山(Mt. Moiwa, 531m) 札幌岳(Mt. Sapporo, 1293m) 恵庭岳(Mt. Eniwa, 1320m) 無意根山(Mt. Muine, 1460.5m)。「無意根山」という変わった名前は、アイヌ語のムイネシリ(…

山桜散り、里桜咲く

雲海 藻岩山 サトザクラ(里桜, Prunus lannesiana Wilson)の花が咲き始めた。別名ヤエザクラ(八重桜)。 エゾヤマザクラ(蝦夷山桜, Sargent cherry, Prunus sargentii)の花はほとんど散った。

自然の深い模倣:アンディ・ゴールズワージーの場合

Andy Goldsworthy: Rivers & Tides - Working With [DVD] [Import]出版社/メーカー: Docuramaメディア: DVDこの商品を含むブログ (2件) を見る ちょっと疲れた時には、アンディ・ゴールズワージー(Andy Goldsworthy, born 1956)のこれぞ本物のインスタレー…

『コンコード川とメリマック川の一週間』に登場するその他の動物名一覧表

asin:4880593540 『コンコード川とメリマック川の一週間』に登場する植物名ほぼすべて一覧表(2010年04月29日) 『コンコード川とメリマック川の一週間』に登場する鳥類名と魚類名の一覧表(2010年05月02日) 植物名一覧表、鳥類名と魚類名の一覧表に続けて…

『コンコード川とメリマック川の一週間』に登場する鳥類名と魚類名の一覧表

asin:4880593540 『コンコード川とメリマック川の一週間』に登場する植物名ほぼすべて一覧表(2010年04月29日) 植物名一覧表に続いて、同じ趣旨で鳥類名と魚類名の一覧表を載せます。 『コンコード川とメリマック川の一週間』(Henry David Thoreau, A Week…

『コンコード川とメリマック川の一週間』に登場する植物名ほぼすべて一覧表

asin:4880593540 本書には数の多い順番からいうと、100種余りの植物、各30種余りの魚貝類と鳥類、20種余りの哺乳類、10種余りの昆虫類、そしてそれより少ない両生類、爬虫類、環形動物などが登場します。本書を読むことは私にとっては見知らぬものも少なくな…

周防大島沖のニホンアワサンゴの群生は世界最大級

沖家室島の松本昭司さんによれば、周防大島沖のニホンアワサンゴの群生は専門家の調査によって世界最大級であることが判明したという。 ニホンアワサンゴの群生が世界最大級(「鯛狸の豆日記」2010年04月18日) 松本さんが語るように、 温暖化によってもたら…

作品「白樺の樹皮の切れ端」

シラカバ(白樺, Japanese White Birch, Betula platyphylla var. japonica) 伐採されて死んだ白樺の樹皮の切れ端を家に持ち帰った。それを一枚の紙のように木の机の上に置き、何か書けないかと思い始める。が、何か書こうとする傲慢さにふと気づいて、ただ…

花のこころ soul、花のいのちと死 life and death をデザインする:Daniel Ost

Daniel Ost Official site フラワーアーティスト、ダニエル・オスト(Daniel Ost, 1955 in Sint-Niklaas, Belgium)は、花師、栗崎昇(くりさきのぼる、1937年生まれ)の弟子筋に当たる。一週間前に新聞(‘The Ashahi Shimbun GLOBE’)で大きく取りあげられ…

ソローの水の哲学

自然はそう簡単にはその懐を開いてはくれない。辛抱強く時間をかけて付き合ってはじめてその秘密が少しずつ開示される。相手が何だろうと、それまでの自分という輪郭や境界が揺らぐ中での相互の観察を経てはじめて、相手は単に一方的に見るだけでは見えてこ…

ソローの葉的世界観、言語の原風景

葉(leaf) 前頭葉(Frontal lobe) ソローの『ウォールデン』の終章「春」のなかの一節に、日本語では注意を向けにくい、「葉」をめぐる、私にとっては非常に興味深い、ある世界観、「葉的世界観」が語られている。 地球でも、動物のからだでも、内部を見れ…

野生の舌

何度も凍結と解凍を繰り返したエゾノコリンゴ(蝦夷小林檎, Manchurian crab, Malus baccata var. mandshurica)の果実(2009年12月23日撮影) 満開の蝦夷の小林檎の下で(2008年5月16日撮影) ソローは「野生りんご」(Wild Apples, 1862*1)と題した林檎の…

殺す技術、生かす技術

asin:4047913243 ブルース・チャトウィンは、流浪の狩人を「ノマド」とみなす世間の誤解を正すために、狩猟は動物を殺す技術であり、牧畜は動物を生かして役立てる技術であり、「正統のノマド(遊牧民)」は移動する牧畜者であると述べた(『どうして僕はこ…

クロワッサンみたいな雲

今日は朝から大気が不安定で、散歩の途中では俄雨にもあった。空模様は刻々と変化し、ダイナミックな形の雲がいくつも見られた。そのなかでも、これは一番目をひいた。これを撮った私の背後の上空には、西に傾いた太陽がまだ覗いていて、それが雲の上部を照…

デレク・ジャーマンはミツバチを飼っていた

左:un dernier jardin, 右:Derek Jarman's Garden 古い友人が「ほら」と一冊の本をくれた。「お悔やみに」と口には出さなかったが、そうだと受け取った。嬉しかった。私の枕頭の書の一冊 derek jarman's garden(『デレク・ジャーマンの庭』)のフランス語…

達布山展望台

山﨑ワイナリーのある丘陵に瘤のような小さな山がある。変わった名前の達布山(たっぷやま)。「太布山」と表記した例もある。標高わずかに143.8mの山であるが、山頂の達布山展望台からは石狩平野を365度見渡すことができる。(二等)三角点が設置されている…

幾春別川を桂沢湖まで遡る

昨日、山﨑ワイナリーを訪ねた後、変わった名前の市来知神社(いちきしり神社)*1にお参りした。その後、三笠市立博物館に立ち寄ってから、幾春別(いくしゅんべつ)川に沿って走る道道116号線を桂沢(かつらざわ)湖を目指して「遡った」。 幾春別川は、北…

キバシオオライチョウ(urogallo)はヨーロッパオオライチョウ(Capercaillie)だった

ヨーロッパオオライチョウ(Capercaillie)*1 志村啓子さんが訳されたマーリオ・リゴーリ・ステルン(Mario Rigoni Stern, 1921)の『野生の樹木園』(みすず書房、2007年)の訳業の素晴らしさを通してステルンの思想に興味を持った私は、やはり志村さんが200…

野鳥の生活型

数日前から急に野鳥の姿を見かけなくなって、ちょっと気になって『フィールドガイド 日本の野鳥』を調べてみた。このガイドブックの最大の特徴は鳥類の専門的で古典的な分類(タクソノミー)*1と、実際に野外で観察される野鳥とをつなぐ、フォークソノミー的…