2009-01-01から1年間の記事一覧

Fingermarks of Flowers

asin:4763005316 「Fingermarks of Flowers」、「花々の指紋」か。 花たちもまた、指紋のごとき個性を持っていた。花々は、美を求める人間たちの添え物なのではなかったのだ。かれらは水準以上に抜きん出た命であり、沈黙のうちに完全な自由を許容する命であ…

牧野さんの悪戯

餌台。数種の異なったエサが置かれている。 藁葺き屋根の餌台。こだわりが感じられる。 シロタエギク(白妙菊, Dusty miller, Senecio cineraria) ニワナズナ(庭薺, Sweet alyssum, Lobularia maritima) ヌルデ(白膠木, Rhus javanica) キク(菊, Garde…

証券会社と旅行社

2年生の佐々木君によるある証券会社の取引疑似体験コンテスト参加に関する報告があった。疑似体験と言っても、相手は現実の市場である。バーチャルマネー300万円を元手にして、建設、石油、証券、小売りの5銘柄の株の取引を実際に体験することを通じて、複…

ひと続きのこの旅

熊木杏里「君の名前」 熊木杏里「風の記憶」

カラマツ

藻岩神社境内のカラマツ(唐松, Japanese larch, Larix leptolepsis Gordon) カラマツの落ち葉 カラマツの幹。樹皮の様子。 ヤグルマギク(矢車菊, Cornflower, Centaurea cyanus)

歴史する(doing history)

『風の旅人』 16号 - FIND the ROOT 「世界」と「人間」のあいだ - HOLY PLANET 他人事のように実体化されがちな歴史にサヨナラを告げて、親密な語りに積極的に巻き込まれながら、ぼくらは日々刻々と歴史する(doing history)存在なのだ、と主張した今は亡…

喰い残しの歌

『風の旅人』 37号 - FIND the ROOT 永遠の現在 - 時と悠 新約聖書のヨハネによる福音書で描かれた世界のはじまりの光景には前史がある。旧約聖書の創世記である。偶然のような必然だったが、『風の旅人』(2009年6月、37号)に掲載された姜信子さんのエッセ…

物語と人間の行方

『風の旅人』 38号 - FIND the ROOT 彼岸と此岸 - 時の肖像 姜信子「一引き引いたは、千僧供養」(83頁〜86頁)を読む。これは説教節小栗判官の物語をめぐって、この世の理不尽を超える何か、独りであって独りではないはずの人間と物語の希望、について語っ…

退屈で、たまんねえ!

ある朝、サフラン公園の東屋でめずらしく(というのは、私が「サフラン倶楽部」と名づけた、メンバーは入れ替わるが、少なくともいつも四、五人はいる、お年寄りたちのグループの中にいることが多いから)独りで腰掛けて俯いているSさんに声を掛けた。腰の…

カラマツ

苅谷さんちの畑の向こう側には原生林が広がる 藻岩神社境内のカラマツ(唐松, Japanese larch, Larix leptolepsis Gordon)。アスファルトが落葉した黄葉に覆われていた。 餌台 冬囲い シラカバ(白樺, Japanese White Birch, Betula platyphylla var. japon…

寒気少し緩む

キク(菊, Garden mum or Chrysanthemum, Chrysanthemum morifolium) エイジツ(営実)。ノイバラ(野茨, Multiflora Rose, Rosa multiflora)の果実。 ボケ(木瓜, Flowering Quince, Chaenomeles speciosa) ヤグルマギク(矢車菊, Cornflower, Centaurea…

30年20万枚の軌跡

asin:4582277748 本書は、30年間で20万枚超の写真を撮り続けた長倉洋海(ながくらひろみ)さんの旅の人生の記録への入口である。1980年のローデシア、ソマリア、パレスチナ、南アフリカ、カンボジア、アフガニスタン(「第1章 ゲリラたちの戦線」19点)、198…

煙突

昨日少し降り積もった雪はほとんど解けて消えた。車で出勤途中、窓越しに愛しのハナに挨拶する。認知されなかった。職場の6階の窓から札幌の南西方面の山並みを眺める。標高600メートル弱の藻岩山の雪は消えた。わずかにスキー場のゲレンデが薄らと白い。藻…

宮本常一が撮った昭和の情景

asin:4620606391 asin:4620606405 本書『宮本常一が撮った昭和の情景』(上下巻)は、宮本常一が昭和30年(1955)から昭和55年(1980)まで全国津々浦々を歩いて見て撮った十万枚の写真から約三千枚を選んで編集された大型本の『宮本常一写真・日記集成』(…

雪の花

] 藻岩山 ノラニンジン(野良人参, Wild Carrot, Daucus carota) ネコ オダマキ(苧環, Columbine, Aquilegia flabellata) チョウセンゴミシ(朝鮮五味子, Schisandra chinensis) コムラサキ(小紫, Purple beautyberry, Callicarpa dichotoma) シラカバ…

その名はマレンコフ

新宿ゴールデン街で六十年間流しを続けて九月に八十二歳で亡くなった「マレンコフ」こと加藤武勇さんのドキュメンタリー映画がまもなく完成するという。「懐古的な映画ではなく、彼の人間性に迫るような映画にしたい」と意気込みを語った大上典保監督のドキ…

歌の取引

ブルース・チャトウィンは、”パリ”ノートと称したモレスキンの手帳をパスポートよりも大事に扱った。チャトウィンは旅先でモレスキン手帳に、おもしろく感じたことや、心奪われたさまざまな観念や、引用や、出会いなどを記録し続けた。彼の代表作の『ソング…

アマゾンの「おばあさん」の寓話

asin:4198930724 旅人や研究者が辺境と呼ばれる土地や紛争地域や文明の圏外から持ち帰った写真や言葉は圧倒的に美しく、正しい。だが、それ故に、そうではない場所で生きるぼくらにとってはそれらは何の役にも立たない、そんな生活、そんな時代に戻ることな…

目ざめてカーテンを開けたら、外は白かった。空き家だけでなく人が住む家々の屋根もまだ白かった。道路の雪はほとんど解けてシャーベット状。滑るのは承知の上で底のすり減ったスニーカーで家を飛び出した。滑りながら歩くのも悪くない。塚本さんちの黄色と…

ビロウ? ビンロウ?

前からちょっと気にかかっている植物名がある。 花の里の長老と、ひときわ高い声の女性の歌い手が並んで立って、それぞれ人の背丈ほどもある太い竹の先につけた大きな鈴を鳴らして、シンシンシン、鈴と一緒につりさげた瓢箪と人の頭ほどの大きさの作り物の檳…

種(たね)に根づく

asin:4167340062 こんな変わった言葉がある。 人は土地に根づくのではなく、種に根づく(佐野眞一『大往生の島』85頁) これは周防大島に昔から伝わる島民の「華僑的」とも言える海洋民的性格をよく表した言葉だという。特に沖家室漁民には、魚を追ってどこ…

窓を通して

空家の屋根の雪。人が住まなくなった家の屋根には雪が残る。 フロントガラスに残った雪。ワイパーの拭い取りの境界線。 街路樹にヤドリギ(宿木, Mistletoe, Viscum album)が五つ。

誤配愉快

[ かねがね書くことの根は日記と手紙にあると思ってきた。そしてこのような公開を前提とした日記や手紙のようなエントリーを連ねるブログの場合、狙った相手には必ずしも届かずに、思わぬ人に届いたりするところがまたとても面白いと感じてきた。先日、手紙…

車の中から

用事があって、散歩ができなかった。雪が少し降った。近所の畑だけが白かった。他は解けて消えていた。車は水滴に覆われていた。車で出勤途中、窓を開けてハナに声をかけるが、外からは車中の私が認知できないようだった。 「ハナ!」「?」「ハナ!」「?」

命がけ、唄を探す

asin:4894346575 『森崎和江コレクション 精神史の旅』(全五感)の『1産土』の解説を姜信子さんが書いている。「果てしなく血を流し生まれ変わり産み直し書きつづける、旅」と題した凄まじい文章だった。題名通りの「旅」の人としての先輩にあたる森崎和江…

冬囲いのデザイン

支柱から枝を吊り上げるタイプの冬囲いの頭はデザイン魂が発揮される部分である。 全体を竹で囲うタイプは珍しい。 筵(むしろ)で覆うナチュラル・タイプは非常に珍しい。今や、ブルーやグリーンや稀にレッドのプラスティック製のネットが主流である。

Raindrops

スゲ(菅, Sedge, Carex) コムラサキ(小紫, Purple beautyberry, Callicarpa dichotoma) ベニシタン(紅紫檀, Cotoneaster horizontalis) ニシキギ(錦木, Winged spindle or Burning bush, Euonymus alatus) クジャクソウ(孔雀草, Aster hybridus) …

アンペラ、土佐節、なぎなたほおずき

asin:4101061017 ひょんなことから初めて読んだ、林芙美子『放浪記』の中で、鳩の豆を売るお婆さん、土佐節を唄う人夫、なぎなたほおずきを器用に鳴らす少女が登場する場面が非常に印象的だった。「私」はそこで触れる「世界」に結局は止まることはなかった…

女と男

お糸さんとお国さんの一緒の寝床に高下駄のような感じの箱枕がちゃんと二ツならんで、お糸さんの赤い長襦袢が、蒲団の上に投げ出されてあった。私はまるで男のような気持ちで、その赤い長襦袢をいつまでも見ていた。しまい湯をつかっている二人の若い女は笑…

雪を迎える準備

二日続きの雨は止んだ。雨、雪、雨、雪、雨ときて、次は雪だろう。そして、雪、雪、雪と続くだろう。寒くなると散歩に出るのが億劫になってくる。それでも、えいやー、と出ると、気分はよく、思わぬ出会いが必ずといっていいほどあるから面白い。散見された…