2009-01-01から1年間の記事一覧

門司港

門司港駅。 他の写真はこちらのフォルダで(→ 門司港)。 周防大島、沖家室島へ向かう途中で門司港に寄り道した。ガイドブックは藤原新也『鉄輪』だった。 手にする列車の切符の行き先に、知らない町の名前が書いてある。 門司港の駅の改札口で母から切符を…

Hiroshima, mon amour

広島では、すでに書いたように、広島市郷土資料館を訪れる前後に、東郵便局裏、駅前市場近辺の開発から取り残された場所、平和記念資料館のある中島町、そして原爆ドームのある紙屋町を中心に、短い時間だったが、できるかぎり歩いた。写真下のリンク先のフ…

根の明るさ、根の暗さ

十年後の「大往生の島」を訪ねた私は一体何を期待し、何を見ようとしていたのだろうか。時間に追い立てられるように殺気ばしった表情で先を急いで小走りする人間の溢れる東京から一転して、正反対の、時間の流れが止まったような島にやってきた。松本昭司さ…

Kanagawa, Tokyo

サザンカ(山茶花, Sasanqua, Camellia sasanqua) シュロ(棕櫚, Chusan Palm, Trachycarpus fortunei) ウド(独活, Udo, Aralia cordata)か モウソウチク(孟宗竹, Moso bamboo, Phyllostachys heterocycla f. pubescens)

Hiroshima

沖家室島

港から鯛の里の前を通り、泊清寺の墓地につづく道。幾世代にもわたる数知れぬ島民が往復した道。美しい優しい道。 泊清寺の墓地に置かれた如雨露 八十八体順拝史跡物見山登口 かつての薬屋 「グリーン・ハウス」 キダチアロエ(Aloe, Aloe arborescens) 潰…

撮る光、見る光

HASHIGRAPHY Rome: Future Deja Vu ローマ 未来の原風景作者: 橋村奉臣出版社/メーカー: 美術出版社発売日: 2009/10/23メディア: ハードカバー クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る 東京上野、国立西洋美術館で開催されていたHASHI展に、最終日…

底、裏に触れる

社会の底、歴史の裏。心の底、心の裏。言葉の底、声の裏、根。視線の先、瞳の奥。そんな場所に強く惹かれる自分がいる。その人が生きて来た道筋。その幾筋もの軌跡や行き止まりや袋小路の景色に思いを馳せ、その音色に耳を澄ます。時に背筋に電気が走る。痺…

旅のあとさき

雪道 原生林のオオウバユリ(大姥百合, Giant lily, Cardiocrinum cordatum var.glehnii.) 苅谷さんの畑 三浦さんちのハナ 小坂さんちのボケ(木瓜, Flowering Quince, Chaenomeles speciosa)の実 大槻さんちのヤグルマギク(矢車菊, Cornflower, Centaure…

計り知れない重さと微かな鈍い光

今回の出張の合間に私はHASHI展、門司港、「広島、ヒロシマ、ひろしま」の他に三つの寄り道をした。大阪、富山、そして京都である。 旅の主要な目的を広島で果たし終えた私は新幹線で新大阪まで行った。浪速区の鴎町公園内にある折口信夫の墓参り(これが他…

出張の空の下

現在出張中です。しばらくブログをお休みします。

写真の代わりに

ケータイをポケットに散歩に出る。気温は氷点下数度。落ち葉に霜が降り、水たまりには薄氷が張り、犬の小便の跡も凍っていた。雪はなし。ケータイカメラだと、やっぱり、即座に反応できず、写真を撮るのを諦める。デジカメG7で撮ることが体に染み付いてしま…

人間の最低生存条件は一定数のなかまなのです

asin:B000JARIRE 谷川雁の臥蛇島紀行「びろう樹の下の死時計」が収録された昭和34年に出版された『工作者宣言』(中央公論社文庫)。もちろん、古書。京都の全適堂書店から届いた。早速「びろう樹の下の死時計」を読みはじめる。抽象画と具象画を高速で交互…

出勤途中

五十年後の未来に、私はもうこの世にはいない頃に、この写真を見た人は、何を読み取るだろうか、とふと思う。アスファルト、コンクリート、鉄、プラスチックからなる環境を懐(なつ)かしむことになるだろうか。それとも「今」と変わりないと思うだろうか。…

老後の花

佐野眞一『大往生の島』(asin:4167340062)で最も印象的な言葉のひとつは、周防大島の東和町で言い伝えられているという次のような痛快な人生の見取り図である。 この町では、五十、六十は洟たれ小僧、七十、八十は働き盛り、八十をすぎてやっと老人の仲間…

未踏の景観学と空間学

asin:462060609X 松山巌は「未踏の景観学のために」(『宮本常一 写真・日記集成 附録』2005年、に収録)のなかで、宮本常一が遺した十万枚を超える写真群のなかには「景観学」ともいうべき宮本独自の壮大な学問の体系化への意図とその可能性を読みとること…

船作り

自分がやっていることの根源的な意味というわけでもないのですが、なんとなく拠り所、縁(よすが)のようなものになっているイメージがあります。それは船です。自分は船を作ろうとしているというイメージというかヴィジョンがときどき頭の中に浮びます。そ…

ケータイ写真

我が家には今カメラがあのG7一台しかない。昨夜のこと、カミさんが明日から仕事のような遊びのような中間モードでおばあさんたちの一団を引率して旅に出るにあたって、カメラを貸せというので、えっ? それは困る、散歩で写真が撮れなくなるなあ、と私が答え…

故郷は時のなかに

『宮本常一 写真・日記集成(上巻)』 『宮本常一 写真・日記集成(下巻)』 『宮本常一 写真・日記集成(別巻)』 『宮本常一 写真・日記集成 附録』 asin:462060609X 宮本常一の写真を見ながら、故郷はあるとすれば、<時間>のなかにしかない、という突飛…

留魂之碑:大田静男さんの「希望」

本橋成一監督のドキュメンタリー映画『ナミイと唄えば』(姜信子原作・企画、2006年、asin:B000LV6MLO)の後半、姜信子さんとナミイおばあが、大田静男さんの自宅を訪ねるところからはじまる場面がある。大田静男さんは自宅の野趣あふれるいい感じの庭のよう…

記憶の彼方へ007:私の知らない曾祖父母か

父が遺した写真の中には祖父母の代に撮られた写真もかなりの数あるが、写っている人物を特定する手掛かりがすでにないものが多い。そんな中でもこのスタジオで撮られたらしい何かの記念写真に写っている人たちは一体誰だろうとずっと、この5年間、気にかか…

馬鹿なオレ

今日一日の気分。馬鹿なオレ。 Bill Evans-My Foolish Heart, 4:39 どちらかと言えば、こっちの方が好き。この猫背といい、この魂の入り具合といい、グッと来る。 Bill Evans Trio - My Foolish Heart('64), 4:40 南無さん(id:namgen)は金沢でビル・エヴァ…

工事現場

車に激突され大破した郵便ポストの土台入れ替え工事が行われていた。違う色の作業着に身を包んだ全く違うタイプの三人の年配の人がチームを組んで作業していた。工事現場に横付けされたトラックの荷台には掘り出された古い土台が積まれていた。郵便ポストを…

艶増す白山吹の実

コムラサキ(小紫, Purple beautyberry, Callicarpa dichotoma) シラカバ(白樺, Japanese White Birch, Betula platyphylla var. japonica) 刈り取られたキク(菊, Garden mum or Chrysanthemum, Chrysanthemum morifolium) 愛しのナナカマド(七竃, Jap…

そんな風に想像されていたとは

火曜日は「燃やせるゴミ」の日。少量の生ゴミの入った有料袋を持って散歩に出た。ゴミステーションの前でめったに会わず、まともに話したことのない年配の真船さんにばったり出会って、「ワンちゃんは?」と声をかけられて、一瞬戸惑った。そうか、真船さん…

苅谷さんと散歩

ルピナス(昇藤, Lupin, Lupinus)の葉 牧野さんちのシオン(紫苑, Tatarian aster, Aster tataricus) 途中で苅谷さんに会う。畑仕事で痛めた腰はすっかりよくなったというが、傘を杖がわりにゆっくり歩いていた。しばらく一緒に歩きながら、「思い出はどん…

美しき天然

美しき天然, 8:33 空にさえずる鳥の声 峯より落つる滝の音、 大波小波とうとうと 響き絶えせぬ海の音、 聞けや人々面白き 此の天然の音楽を。 調べ自在に弾き給う 神の御手の尊しや。 …… ある年代以上の人にとっては(昭和32年生まれの私はギリギリ)聞き覚…

びろう樹

asin:4309740014 以前、檳榔はビロウなのかビンロウなのか実物を見たことのない私には判断がつかないという趣旨のエントリーを書いた。 ビロウ? ビンロウ?(2009年11月20日) 『宮本常一 旅する民俗学者』(河出書房新社、2005年)に収録された佐野眞一と…

記憶の彼方へ006:私の知らない私

1、2歳の頃の私。何を見ているのだろう。視線の先には祖父か叔父がいたような気がなんとなくする。(こんな私にも可愛い頃があったことを自慢したいわけではぜんぜんない。念のため。) 撮影は昭和33、34年頃。撮影者は父。撮影場所は未詳。乳母車を兼ねた…

魔境

長谷川さんちのベンチ 暴風雨の夜が明けた。雷鳴も二回轟いていたなあ。朝の空気は生温く湿り気を帯びていた。光の具合がよかった。写真家が「魔境」と呼ぶこともある、風景や人々の顔が潤いをもちはじめる時刻、例えば午後4時、があるけれども、そんな感じ…