映画

ドナルド・リチーは今洞爺湖にいるらしい

ドナルド・リチー(Donald Richie, born 17 April 1924) ジョナス・メカスの日記によれば、今、ドナルド・リチーは私の暮らす北海道の洞爺湖にいるらしい。彼からジョナスのもとに届いた絵葉書には、たしかに見覚えのある洞爺湖の中島、その向こうに見える…

末期の眼

吉田喜重 1993年12月13日〜16日にかけて、4夜連続でNHK教育テレビで放映された「ETV特集 吉田喜重が語る小津安二郎の映画世界」の第4回「その短すぎた晩年/無秩序な世界につつまれて」を学生たちと一緒に観る。全4回の各テーマは次の通りである。 第…

風の丘

Sopyonje 1 of 13 Sopyonje 2 of 13 Sopyonje 3 of 13 Sopyonje 4 of 13 Sopyonje 5 of 13 Sopyonje 6 of 13 Sopyonje 7 of 13 Sopyonje 8 of 13 Sopyonje 9 of 13 Sopyonje 10 of 13 Sopyonje 11 of 13 Sopyonje 12 of 13 Sopyonje 13 of 13 林権沢(イムグ…

始原的な欲望

吉田喜重 1993年12月13日〜16日にかけて、4夜連続でNHK教育テレビで放映された「ETV特集 吉田喜重が語る小津安二郎の映画世界」の第3回を学生たちと一緒に観る。全4回の各テーマは次の通りである。 第1回 サイレントからトーキーへ 映画との出会い 反…

自我の引き算

吉田喜重 1993年12月13日〜16日にかけて、4夜連続でNHK教育テレビで放映された「ETV特集 吉田喜重が語る小津安二郎の映画世界」の第2回を学生たちと一緒に観る。全4回の各テーマは次の通りである。 第1回 サイレントからトーキーへ 映画との出会い 反…

ジョナス・メカスの宣言@クラクワ

A manifesto from Krakow (recorded by Giuseppe Zevola) しばらく音沙汰なしだなと思っていたら、ジョナス・メカスはかつてのポーランド王国の首都クラクワにいた。メカスは50周年を迎えたクラクワ映画祭で「金龍賞(the Dragon of Dragons award)」を受賞…

あるがままの現実

吉田喜重 1993年12月13日〜16日にかけて、4夜連続でNHK教育テレビで放映された「ETV特集 吉田喜重が語る小津安二郎の映画世界」の第1回を学生たちと一緒に観る。全4回の各テーマは次の通りである。 第1回 サイレントからトーキーへ 映画との出会い 反…

小津安二郎の静かな反戦

2003年12月27日にNHK教育で放映されたETVスペシャル「第1部 小津安二郎 静かな反戦」を学生たちと一緒に見る。 小津安二郎の映画には軍服を着た人間はただの一度も出てこない。しかし、小津安二郎は、紛れもなく戦争の真っただ中を生きた世代の人間である。…

映画「デルタ 小川国夫原作オムニバス」

4年前の小川国夫に触れた記事(→ 小川国夫と「器」)にnakadaさんから小川国夫原作の映画「デルタ 小川国夫原作オムニバス」ができたと知らせがあった。感慨深いものがある。いずれも今年完成したばかりの与那覇政之監督「誘惑として、」(24分)、高野貴子…

Salt Filmsの手が可愛い

シンガポールを拠点とする映像企画集団Salt Films。ウェブでここまで遊べるか。 Salt Films

声音、声色、声の根

耳に気持ちのよいイントネーションって、声の波立たせる空気の魅力的な波紋のようなものだと感じる。しかも、人間の話す内容なんて高が知れているような気がするけど(あっ)、その人の声が描く形やその人の書く文字の特徴には、いわゆる知識の姿は永遠にと…

We are no islands:Interview with Jonas Mekas @ Dotfest

the DotFest - THE 1ST INTERNATIONAL ONLINE SHORT FILM FESTIVAL Interview with Jonas Mekas 旅の空の下、ジョナス・メカスが審査員を務めることになったドットフェスト 第1回 国際オンライン短篇映画祭(the DotFest - THE 1ST INTERNATIONAL ONLINE SH…

ジョナス・メカスの千夜一夜(Jonas Mekas' 1,001 Nights)

Jonas Mekas' Personal Website 数日前に、ジョナス・メカスの新サイトの顔が上のように変った。日記(Diary)がホームに設定されているのに変わりはないが、その日記に最初の映像日記であるトランペットで「再開の狼煙」を上げるメカスの映像が改めて置かれ…

ルチア・ドルゴスツェウスキ1998年1月

Jonas Mekas' Diary, March 18 プリペアド・ピアノ(prepared piano)曲の驚くべき一例。今は亡き、想像力溢れるポーランド系アメリカ人の作曲家ルチア・ドルゴスツェウスキ(Lucia Długoszewski, June 16, 1931 – April 11, 2000)の最後の演奏のひとつ。曲…

私があなたと分かち合いたい二、三の事柄

ジョナス・メカスの新サイト jonasmekasfilms.comでは、昨年の初夏にパリのアニエス・ベーのギャラリーで開催された彼の「私があなたたち、パリの友人たちと分かち合いたい二、三の事柄」展("A Few Things I Want to Share with You, My Paris Friends," ag…

ジョナス・メカス「美の一瞥」試訳

ジョナス・メカスの最新インタビューが非常に面白かったので、訳してみました。すでに色んな場所に書かれている事実も少なくありませんが、6歳の頃の体験や、ごく最近の彼の関心事など、新鮮な事実も語られ、しかも全体的に彼ならではの詩的な語りには大き…

Magic, Brief Glimpses of Beauty

Anne Cameron, Dzelarhons Encyclopedia Mythica: mythology, folklore, and religion. Jonas Mekas, Brief Glimpses of Beauty Interview with Hans Ulrich Obrist

Destruction Quartet, 2006 @ Armory Show 2010

http://jonasmekasfilms.com/diary/?p=111 March 5: with James Fuentes New York Armory Show 昨夜、メカスの新サイトの‘News’ページにアップされる動画を勝手に「映像日記」と呼んで紹介したが、今日になって、その‘News’ページにアクセスできなくなった。…

memorial filming

昨日、メカスから新サイト(http://jonasmekasfilms.com/)開設の知らせを受けた。最初の映像日記「Friends! Welcome!」では、87歳にして、エキサイティング!と繰り返し、年季の入ったトランペットで「再開」の音の狼煙を挙げるパワーには恐れ入った。時差…

ジョナス・メカスからのメッセージ

Dear Mikami-san,in appreciation of your very dedicated following of my 365 Day Project and your postings of some very useful and interesting comments, I decided that you should be the first to know about my personal new internet site www.j…

映画『獣人雪男』の着ぐるみ

わけあって、可愛い雪男の着ぐるみを探していたら、昭和30年(1955)に公開された本多猪四郎監督の映画『獣人雪男』に行き当たった。撮影で使われた雪男の着ぐるみが、俳優兼特殊技術専門の造形家である大橋史典(上の写真で着ぐるみから顔だけ出している人…

洪水の世の旅人

asin:B000LV6MLO 姜信子さんが『ナミイ! 八重山のおばあの歌物語』(asin:4000241559)で世に知らしめた「ナミイおばあ」こと新城浪さんの歌い,踊る人生の凄さを、姜信子さんが企画し、あの本橋成一さんが監督したドキュメンタリー映画『ナミイと唄えば』…

Francis Ford Coppola, Osvaldo Golijov, and Maya Beiser

YouTube - TetroFilm's Channel Tetro : Osvaldo Golijov - Music Born from the Film Maya Beiser performing "Mariel" ref. Tetro Official site Official website of Osvaldo Golijov Maya Beiser Official Website

Gran Trino...

昨日も寒かった。昨夜はレイトショーでグラン・トリノを観た。苦しかった。よかった。クリントには長生きしてもっとたくさん映画を撮ってもらいたい、と書いた早川さん(id:hayakar)の真意が心を打ち続けた。爺なので涙は流さなかったが、全身が涙に浸され…

生命、まだ観ぬグラン・トリノへの複雑な想い

植物たちの造形と変化の妙に興味は尽きない。視線も思考も届かない深いところまで緻密に計算されたかのような秩序がそこにあるのを感じる。それが近藤さんが多面的に思考を巡らせてきた合理的思考によってはとうてい捉えきれない「生命」そして「進化」とい…

トウモロコシ畑、バオバブの記憶

札幌、晴。陽の当る隅っこだけ雪解けが急速に進み、土が出てきたトウモロコシ畑。 朝刊で目にとまった本橋成一の写真集『バオバブの記憶』。 バオバブの記憶作者: 本橋成一出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2009/03/01メディア: 大型本 クリック: 4回この商品…

ブラックマーケット

第三の男 [DVD] FRT-005出版社/メーカー: ファーストトレーディング発売日: 2006/12/14メディア: DVD購入: 3人 クリック: 71回この商品を含むブログ (53件) を見る 映画「第三の男」(1949年)をみる。何年ぶりだろう。冴えわたった画面に思わず引き込まれる…

ドキュメンタリー映画『未来世紀ニシナリ』

『未来世紀ニシナリ』(2006年/68分)予告編(上映予定情報入り) 監督・脚本:田中幸夫/山田哲夫 製作:フルーク 面白そうだ。観たい。 釜ヶ崎、あいりん地区、ドヤ街、部落、在日、・・・・・ かつて負のイメージで語られることの多かった西成。 今、この…

受容

つい最近、アメリカのある町のデパートで、赤ん坊を抱いて子供服売り場を歩いている若い女性を見かけた。本来、そのことになんの不思議もないはずだが、目を引かれたのは、胸に抱かれた赤ん坊が等身大の裸の人形だったからだ。そして、その女性の背後には、…

映画の汀で

「列車の到着」2007 実験映画を制作することに生涯をかけることはまぎれもなく人生そのものを大きな実験の中に投げ込むようなことだが、さらに、そのような人生の中で実験映画制作からさえも生産的に逸脱していく身振りと作法には狂気とすれすれの大きなユー…