デレク・ジャーマンはミツバチを飼っていた

左:un dernier jardin, 右:Derek Jarman's Garden 古い友人が「ほら」と一冊の本をくれた。「お悔やみに」と口には出さなかったが、そうだと受け取った。嬉しかった。私の枕頭の書の一冊 derek jarman's garden(『デレク・ジャーマンの庭』)のフランス語…

新井白石『西洋紀聞』

西洋紀聞 (岩波文庫 黄 212-3) 先日、近所のCOOPに買物に行った折、無人の古本50円均一コーナー(鍵のかかったユニセフの募金箱が設置してある)を眺めていたら、一冊の古い岩波文庫が目にとまった。新井白石の『西洋紀聞』だった。1709年、鎖国下の江戸中期…

蜂群崩壊症候群(CCD, Colony Collapse Disorder)

ハチはなぜ大量死したのか 光栄なことに、文芸春秋の下山進さんから三冊目の新刊本が届いた*1。ローワン・ジェイコブセン著/中里京子訳『ハチはなぜ大量死したのか』。原書は昨2008年9月にアメリカで出版された。原題は「実りなき秋」(Fruitless Fall)、…

パテ・ベビー

机上で出逢った『プラハ』と『ブダペスト』 徳永康元の『ブダペストの古本屋』(asin:4770404867)が届いた。残念ながら、千野栄一の『プラハの古本屋』(asin:446921096X)を手に入れた古本屋に在庫はなく、他所に注文してあった。しかし、私の部屋が「古本…

『プラハの古本屋』が東京の古本屋から届いた

千野栄一著『プラハの古本屋』(asin:446921096X)が東京の「古本屋」という名の古本屋から届いた。ぱらぱら捲っていたら、一枚のレシートが出てきた。東京外国語大学の生協購買書籍部でこの本を購入した時のものだ。内訳にはこの本の他にもう一冊「ゴガクシ…

黄金の虎 U Zlatého Tygra にいる気分

話は少し前後します。 一昨日、南陀楼綾繁(ナンダロウアヤシゲ)さん(id:kawasusu)推薦の千野栄一著『ビールと古本とプラハ』が届いて、すぐに読み始めたら、ビールが飲みたくてたまらなくなって、夕方近所のコンビニに走った。できれば、中心街のライオ…

南陀楼綾繁さん

白水社の「出版ダイジェスト』(隔月)が届いた。南陀楼綾繁(ナンダロウアヤシゲ)さんの「再読愛読」という新連載コラムが始まった。第一回は千野栄一『ビールと古本のプラハ』(asin:4560073406)。無性に読みたくなった。早速注文した。ナンダロウアヤシ…

扉の楽譜。Kyrie, eleison.

季節風―照片雑文 (照片雑文 (〔1〕)) 島尾伸三『季節風 照片雑文★☆』(みすず書房、1995年)を手に取って、見返しを捲り、そして扉を捲ったとき、小さな楽譜が目に飛び込んできた。楽譜が読めない貧しい目と耳にも、美しい曲のように感じられた。ミサ曲だろ…

『濹東綺譚』のなかのマルクス

濹東(ぼくとう)綺譚 (岩波文庫)作者: 永井荷風出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1991/07/01メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 89回この商品を含むブログ (67件) を見る 『濹東綺譚』の中には一箇所だけ「マルクス」が登場する。 マルクスを論じていた人が…

美しい本

asin:4757142021港千尋著『レヴィ = ストロースの庭』が届いた。知性の声がブルゴーニュの森に静かに深く谺するような佇まいの、100歳を祝福するにふさわしい美しい本。中山さん、柴さん、ありがとう。

ジョナス・メカス、ピーター・ビアード

古書の裏道を極める友人から、お前の欲しそうな本が手に入ったから見に来ないか、と連絡が入り、早速訪ねた。久しぶりだった。中心街を抜けて、北海道神宮の鳥居をくぐって、しばらく行った先に彼の住処がある。『ガジュマルの家』(asin:4022504811)に登場…

エリセーエフが届いた

小稲葉の若葉堂から『赤露の人質日記』が届いた。 asin:412200389X 久下戸の古本屋えんどうから『エリセーエフの生涯』が届いた。 asin:B000J8YHPC 古本屋えんどうさんは領収書を同封してくれた。

モウラから天の蛇が届いた

http://www.mohla.co.jp asin:B000J9FBAQ 著者の加藤九祚は「はしがき」の最後に気になることを書いている。 本書が、ネフスキー夫妻の生涯とその時代を理解するうえでの一助になるならば、著者の労は報いられたものと信ずる。私は本書をネフスキー夫妻と、…

与える力、つなげる力、破壊する力

asin:4163705902 文芸春秋の下山進さんが藤原和博さんの本『つなげる力』をポーンと送ってくれた。大きな勢いのある手書きサインが印象的な9月4日付けのワープロ書きの推薦文のカラーコピーが同封されていた。編集者(?)としての下山さんの、それこそブロ…

誕生日の贈り物

友人夫妻を案内して久しぶりに大型書店に行った。そこで二日遅れの「誕生日の贈り物」として直観的に7冊の本を選んで買った。内訳はその書店に在庫のあった鶴見良行の本全4冊、『バナナと日本人』(asin:4004201993)、『東南アジアを知る』(asin:4004304…

夏の夜の枕頭の書

私の夏の夜の枕頭書の一冊はアストゥリアスの『グアテマラ伝説集』である。 asin:B000J8X9UG ポール・ヴァレリーが「ナポレオン法典」を補完する「グアテマラの霊薬」と呼んだその仏訳に寄せた「序文」でも知られる「夢の化生」のような書物。その冒頭の「グ…

枕頭の書

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本が見る夢

個々の多種多様な本たちが「本なるもの」になるのは、読書をおいてほかにない。そこで「本(The Book)」の真の姿とはどんなものなのかとよく想像する、妄想する。それはもしかしたら、ウェブにかなり近い姿をしているのかもしれないな、と思うことがある。…

あなたに本を愛しているとは言わせない2

ひさしぶりに山口文憲著『日本バチカン巡り』(新潮社、2002年、asin:4104516015)を読み返していた。これは内容もさることながら、本としての出来に惚れた一冊だった。過去に手放した大量の本の一冊にならなかったのは、その本が発する独特のオーラだったの…

本を読んで疲れ果て,泥のように眠った

週末は「ボケの実」の調査に明け暮れて...、というのは嘘で、所用で完全にネットから離れていました。その間たまたま読んだ本のなかで、一番「疲れた」のはこの本でした。 5万4千円でアジア大横断 (新潮文庫)作者: 下川裕治出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2…

オリエンタリズム

asin:4582760112, asin:4582760120 先日、東京にいる娘から父の日のプレゼントと一緒にサイードの『オリエンタリズム』上下巻本が送られてきた。大学の講義の教科書に指定されて買ったものの(合計3000円を超える)、ほとんど讀まずに今後も讀まないけど、棄…

鶴ヶ谷真一『月光に書を読む』

asin:4582833934 素白先生の随筆に出会ったのが奇縁となって(「素白先生の写実精神あるいは散歩と旅」)、素白との出会いを記したこの本に出会うことになった。著者の鶴ヶ谷真一氏は素白の本との出会いについてこう書いている。 もしあの本に出会うことがな…

誰もが皆、先に進みたがる。しかし、今は、後戻りするほうが、ずっと賢いと私は思う。

忘れた頃にやって来たジョナス・メカスの本。以前何度も言及した村田郁夫訳『どこにもないところからの手紙』(書肆山田、2005年)よりも早く2年前に出版された仏訳本である。後半に英訳も収録されている。表紙写真がとてもいい。 Jonas Mekas Lettres de Nu…

書物の思想

前エントリーで取り上げた鈴木一誌著『ページと力』はそれ自体が書物の思想、ブック・デザインの思想を物語っていると感じている。 奥付にはここまで公開されている。ここにはわれわれの本の常識を覆す力が刻印されている。この本は「鈴木一誌」という作者名…

Yoshimasu GOZO, THE OTHER VOICE/L'ALTRA VOCE(2005)とOptima nova

大分以前に注文してあった本がやっと届いた。吉増剛造の『THE OTHER VOICE』のイタリア語版である。しかし、本文にはイタリア語のみならず、日本語、英語、ハングルの大小の活字が紙面縦に複雑に組まれている。イタリアの詩人であり映像作家でもあるマルコ・…

『メカスの映画日記』と『Movie Journal』

写真右が『メカスの映画日記 ニュー・アメリカン・シネマの起源 1959〜1971』(asin:4845974061)で、左の原書『Movie Journal The Rise of a New American Cinema, 1959-1971』の翻訳本である。『メカスの映画日記』に慣れた目で、古書で手に入れた原書を初…

『セメニシュケイの牧歌』のクロライチョウ

クロライチョウ(Black Grouse, Tetrao tetrix)*1 昨日紹介したジョナス・メカスの詩集『森の中で』(書肆山田、1996年)asin:487995375Xと同時に出版されたメカスの第一詩集『セメニシュケイの牧歌』(書肆山田、1996年)asin:4879953741を読み直していて…

書物を流れる時間

異郷の季節作者: 鈴木道彦出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2007/03/10メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (6件) を見る 以前触れた『越境の時』(集英社新書、2007年)の刊行に合わせて新装版が発行された鈴木道彦著『異郷の季節』(み…

生命維持装置としての詩:『アイギ詩集』

メカスの365日映画のおかげで旧ソ連のチュヴァシ出身のゲンナジイ・アイギという名の詩人を初めて知った。 a Chuvashian poet, Gennady Aygi:365Films by Jonas Mekas(2007-11-21) それで興味が湧いて、メカスが強く薦めていた"FIELD - RUSSIA"(New Direc…

Langasさんの「リトアニアへの旅の記録 2001年夏」:日記と本の境界の揺らぎ

ジョナス・メカス関連で検索していて、目がしょぼしょぼし出した頃、フィンランド在住のLangasさんのちょっと古い記録が目にとまった。 「リトアニアへの旅の記録 2001年夏」 そのページにはリトアニアで2000年に出版された未邦訳のメカスの著書の表紙写真(…